取り組みの検証

【目的】COVID-19の対策においては、感染症の流行が長期化しており、対応している保健師の疲弊感は非常に高いことが推測される。そこで、COVID-19に対応する保健師に対してストレスマネジメントを目指した「認知行動療法に基づくリモート研修プログラム」を作成し、そのプログラムの有効性を予備的に検討することを目的とした。

 

【方法】保健師に対してリモート研修プログラムを実施し、研修受講前・後及び受講1カ月後の3回、質問紙調査(職業性ストレス簡易調査、GHQ精神健康調査票短縮版)への回答を求めた。未記入のあるデータを除外し、14名のデータを分析し、被験者内計画の一元配置分散分析を行った。本研究は、国際医療福祉大学の倫理委員会承認後に実施した(承認番号:20-Io-105)。

 

【結果】一元配置分散分析の結果、職業性ストレス簡易調査の心理的ストレス反応の項目において、受講前と1カ月後の間に有意差がみられ (F=3.37,df=(2,26),P<.05)、受講前と比較して1カ月後の方が有意に低かった。加えて、GHQ精神健康票の得点において、受講前と1カ月後の間に有意差がみられ(F=11.90,df=(2,26),P<.001)、受講前と比較して1カ月後の方が有意に低かった。

 

【考察】本研修プログラムを受講した保健師は、受講直後ではなく、1カ月後に心理的ストレスが軽減し、本プログラムは保健師のストレスマネジメント力を高めるうえで有効である可能性があることが示唆された。